M1698●江戸和本●心学早まなび[心学早習備]

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心学早まなび[心学早習備]【判型】半紙本1冊。縦225粍。【作者】野崎一歩斎作。中次良三郎跋。【年代等】寛政9年4月作・刊。[江戸]西村源六(文刻堂)板。【備考】分類「心学」。『心学早まなび[心学早習備]』は、神儒仏三教の教えに金言・道歌や比喩を交えて「克己復礼」などの心得を説いた心学書。巻頭に絵解きした道歌や教訓文を掲げる。特に最後の絵解きは「相撲は戦場の組打の稽古也…」と世間を相撲の稽古場に譬えるが、本文冒頭では、東の行事人を孔子と釈迦、相撲取を仁ヶ崎礼助以下6人、西の行事人を殷の紂王と善星比丘、相撲取を欲ヶ崎鷲右衛門以下6人を善悪の見立番付風に掲げる。続いて、人の心の変化を傀儡師に譬えた道歌で示し、『論語』の「克己復礼」を引いて、作者自身の道歌「ひたすらに日夜朝暮に地どりして、己に克たば天下敵なし」の一首を掲げて克己の意味を掘り下げる。以下同様にして、聖賢や仏の教えを身に付けない者を鸚鵡の口真似に譬え、さらに煩悩に打ち勝つ心得などを展開する。本文中程からは上欄頭書に「法然上人の歌」や「日蓮聖人の言葉」などを載せつつ、本文の教訓を押し広げる工夫も行う。跋文では、作者が自ら「一文不通」と称したが、その通りで「文学なくして能(ヨク)人を正道へ導き、善を勧め悪をこらし、人気を和らぐ」と評し、作者の門人が自然と家内和順になることを紹介する。なお本書は、寛政11年に『克己道徳鈔』と改題・再刊された。★原装・題簽付・状態良好(一部小虫補修)。稀書。【参考価格(初出品時の相場):日本の古本屋で、改題本の『克己道徳鈔』が、4万5000円】。

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